東京高等裁判所 平成2年(行ケ)86号 判決
一 請求の原因一(特許庁における手続の経緯)及び二(審決の理由の要点)の事実は、当事者間に争いがない。
二 そこで、原告主張の審決の取消事由の当否を検討する。
本願商標が別紙一に表示されているとおり「fogal」の欧文字五文字を横書きして成るものであつて「フオーガル」の称呼を生ずること、及び、引用商標が別紙二に表示されているとおり「FOCAL」の欧文字五文字と「フオーカル」の片仮名五文字を二段に横書きして成るものであつて「フオーカル」の称呼を生ずることは、原告も認めて争わないところである。
そこで、「フオーガル」の称呼と「フオーカル」の称呼を対比してみると、両称呼は、第二音(「ガ」と「カ」)が異なるのみであつて、他の音構成は全く同一である。そして、成立に争いない乙第一号証(E R エドワーズ著「日本語の音声学的研究」恒星社厚生閣発行)によれば、これらの称呼は、長音である第一音(「フオー」)が比較的に強く発音されるのに対し、第二音(「ガ」あるいは「カ」)は比較的に弱く発音されるのが通常であるのみならず(第一一二頁)、「ガ」と「カ」は調音方法が極めて近似しており(第五八頁、第六〇頁)、もとより母音(「a」)を同じくする。それゆえ、本願商標及び引用商標をそれぞれ一連に称呼すると、第二音の差異は必ずしも明瞭に聴取されるといえないから、本願商標及び引用商標をそれぞれ一連に称呼すると全体の語感ないし語調が極めて近似し両商標は称呼において類似するとした審決の判断は、正当として首肯することができる。
そして、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品が共に第一七類であることは原告が自認するところであるから、本願商標は商標法第四条第一項第一一号に該当する商標であり商標登録を受けることができないとした審決の結論は正当であつて、審決には原告主張の違法は存しない。
三 以上のとおり、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は失当であるからこれを棄却する。
〔編注1〕本件の特許庁における手続の経緯は左のとおりである。
原告は、昭和五五年三月一四日、別紙一に表示されているとおり「fogal」の欧文字五文字を横書きして成る商標(以下「本願商標」という。)について、指定商品を「第一七類 被服、布製身回品、寝具類」とする商標登録出願(昭和五五年商標登録願第一九七六四号)をしたが、昭和五八年八月一〇日拒絶査定を受けたので、同年一二月一四日査定不服の審判を請求し、昭和五八年審判第二五七九二号事件として審理された結果、平成元年一〇月一九日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決がなされ、その謄本は同年一二月六日原告に送達された。なお、原告のための出訴期間として九〇日が附加されている。
〔編注2〕本件における別紙は左のとおりである。
別紙一
<省略>
別紙二
<省略>